こんにちは。
福岡市早良区有田・次郎丸エリアにある歯医者、「次郎丸デンタルクリニック」院長の木村健吾です。
「毎日しっかり歯を磨いているのに虫歯ができてしまいました。」
診療中、このようなご相談をいただくことは少なくありません。
「甘いものはそんなに食べていないのに…。」
「歯磨きも毎日しているのに、どうして虫歯になるのでしょうか?」
このような疑問を感じたことがある方も多いのではないでしょうか。
実は、虫歯は「歯磨きだけ」で決まる病気ではありません。
食事の内容や食べる回数、飲み物、唾液の働き、お口の細菌、フッ化物(フッ素)の利用など、さまざまな要素が関係しています。
たとえば、同じチョコレートを食べる場合でも、「食後にまとめて食べる人」と「仕事や勉強をしながら少しずつ食べ続ける人」では、虫歯のリスクが変わることがあります。
つまり、「何を食べたか」だけでなく、「どのように食べたか」も大切なのです。
今回は、虫歯と生活習慣の関係について、世界的にも知られているホープウッド・ハウス研究を紹介しながら、現在の歯科医療ではどのように考えられているのかを、できるだけわかりやすくお話しします。
虫歯は歯磨きだけでは防げない理由
「歯磨きを頑張れば虫歯にならない。」
そう思われることがありますが、実際にはもう少し複雑です。
虫歯は次の4つの条件が重なることで発生すると考えられています。
- 虫歯になりやすい歯
- 虫歯の原因となる細菌
- 糖質(砂糖など)
- 時間
この4つがそろうと、お口の中では細菌が糖を利用して酸を作ります。
その酸によって歯の表面が少しずつ溶ける状態が続くと、虫歯が進行していきます。
つまり、歯ブラシだけではなく、「細菌が酸を作る時間を減らすこと」も重要なのです。
【図①】

実は「食べる回数」がとても重要です
例えば、この2人を比べてみましょう。
Aさん
昼食後にデザートを食べます。
その後は水やお茶だけで過ごします。
Bさん
飴を仕事中ずっとなめています。
甘いカフェラテを少しずつ飲み続けています。
食べた砂糖の量が同じでも、Bさんの方がお口の中が酸性になっている時間が長くなります。
歯は食事のたびに少し溶けます。
しかし、唾液には歯を元に戻す「再石灰化」という働きがあります。
食事と食事の間が十分に空いていれば、この修復が行われます。
ところが、何度も甘いものを口にすると、歯が修復される時間がなくなってしまいます。
この違いが、虫歯のリスクにつながるのです。
ホープウッド・ハウス研究とは?
虫歯と食生活の関係を語るときによく紹介されるのが、「ホープウッド・ハウス研究」です。
これは1960年代にオーストラリアで行われた有名な研究です。
施設で生活していた子どもたちは、
- 精製された砂糖をほとんど食べない
- 野菜や果物を多く食べる
- 自然に近い食生活を送る
という環境で生活していました。
当時は現在のようなフッ化物入り歯磨き粉も普及しておらず、歯磨きの習慣も十分とはいえませんでした。
それにもかかわらず、一般の子どもたちより虫歯が少なかったことが報告されています。
この研究は、「食生活が虫歯に大きく関係する」ことを示した研究として、現在でも紹介されることがあります。
【図②】

ただし、この研究だけで結論を出すことはできません
ここで大切なのは、「だから歯磨きは必要ない」という話ではないということです。
ホープウッド・ハウス研究は非常に価値のある研究ですが、現在ではいくつかの注意点も指摘されています。
例えば、
- 約60年前の研究であること
- フッ化物が普及する前の時代であること
- 現在とは生活環境が異なること
- 研究対象が限られていたこと
などです。
実際には、その後施設を出た子どもたちは、一般的な食生活になると虫歯が増えたことも報告されています。
つまり、「砂糖を減らすこと」は大切ですが、それだけで十分というわけではありません。
現在の歯科医療では、
- 毎日のセルフケア
- フッ化物の活用
- バランスの良い食生活
- 定期的な歯科受診
これらを組み合わせることが、虫歯予防には重要だと考えられています。
「甘いものは禁止」ではありません
患者さんから、
「もう甘いものは一生食べられませんか?」
と聞かれることがあります。
答えは、「食べ方が大切です」。
例えば、
✓ 食後にまとめて食べる
✓ ダラダラ食べを避ける
✓ 甘い飲み物を少しずつ飲み続けない
✓ 水やお茶を選ぶ
このような工夫だけでも、お口の環境は変わります。
虫歯予防は我慢大会ではありません。
毎日の生活の中で、無理なく続けられる方法を見つけることが大切です。

フッ化物は虫歯予防の強い味方です
ホープウッド・ハウス研究からは、「食生活が虫歯に大きく関係する」ことがわかりました。
では、現在の歯科医療では何が最も大切だと考えられているのでしょうか。
答えは、「一つだけで虫歯を防ぐ方法はない」ということです。
食生活を整えることはもちろん大切です。
それに加えて、毎日の歯磨き、フッ化物(フッ素)の利用、そして定期的な歯科医院でのメインテナンスを組み合わせることで、虫歯のリスクを下げることが期待できます。
中でも、多くの研究で効果が示されているのがフッ化物の活用です。
フッ化物には次のような働きがあります。
- 歯を酸に強くする
- 初期の虫歯を修復する「再石灰化」を助ける
- 虫歯菌が酸を作る働きを弱める
つまり、歯を守る力を高めてくれる存在といえます。
現在では、多くの歯磨き粉にフッ化物が配合されています。
年齢に応じて適切な濃度の歯磨き粉を使用し、歯磨き後は軽くうがいをすることで、フッ化物をお口の中に残しやすくなります。
もちろん、これだけで虫歯を完全に防げるわけではありません。
しかし、毎日の生活に取り入れやすい予防方法の一つです。

「歯が痛い」「歯がしみる」と感じたら早めの受診がおすすめです
虫歯は初期の段階では、自覚症状がほとんどありません。
そのため、「痛くないから大丈夫」と思っていても、気づかないうちに進行していることがあります。
例えば、
- 冷たいものがしみる
- 甘いものがしみる
- 食べ物が詰まりやすくなった
- 歯に黒い部分がある
- 噛むと違和感がある
このような症状がある場合は、虫歯だけでなく、知覚過敏や歯周病などが原因となっていることもあります。
自己判断せず、一度歯科医院で確認することをおすすめします。
また、「歯が痛い」「詰め物が取れた」「歯ぐきが腫れた」といった急なお困りごとにも、予約状況によっては急患対応が可能な場合があります。
まずはお気軽にお電話でご相談ください。
定期検診や歯石取りは、虫歯予防にもつながります
「歯石取りは歯周病のために受けるもの」と思われる方も少なくありません。
もちろん、それも大切な目的です。
しかし、定期的なクリーニングや歯石取りには、虫歯予防にも役立つ面があります。
歯ブラシだけでは落としきれない汚れや細菌のかたまり(バイオフィルム)は、時間が経つと虫歯や歯周病の原因になります。
歯科医院では、専用の器具を使ってこうした汚れを除去し、お口の状態を確認します。
「最近歯石取りをしていないな」
「しばらく歯医者に行っていないな」
という方は、一度検診を受けてみてはいかがでしょうか。
虫歯や歯周病は、早い段階で見つかるほど治療の負担を抑えられる可能性があります。

次郎丸デンタルクリニックが大切にしていること
次郎丸デンタルクリニックでは、虫歯を治療することだけでなく、「できるだけ虫歯を繰り返さないこと」を大切にしています。
そのため、一人ひとりのお口の状態や生活習慣を丁寧に確認し、治療方法だけでなく予防についてもわかりやすくご説明しています。
診療時間は比較的ゆとりを持って確保しています。
「何が原因だったのか」
「これからどのように予防すればよいのか」
患者さんと一緒に考えながら進めていくことを心がけています。
また、院内には歯科用CTや拡大鏡、エアフローなどの設備を備えています。
必要に応じて検査を行い、できるだけわかりやすい説明を心がけています。
院内はバリアフリー設計で、ベビーカーのまま診療チェアまでお入りいただけます。
キッズスペースもありますので、小さなお子さま連れの方もお気軽にご相談ください。
さらに、広めの駐車場をご利用いただけるため、お車での通院もしやすい環境です。
よくある質問
Q. 毎日歯磨きをしているのに虫歯になります。歯磨きの方法が悪いのでしょうか?
必ずしも歯磨きだけが原因とは限りません。
食生活や間食の回数、唾液の量、お口の細菌、歯並びなど、さまざまな要因が関係しています。
必要に応じて、お口の状態を確認しながらセルフケアのポイントをご説明します。
Q. 甘いものは完全にやめた方がよいですか?
完全にやめる必要はありません。
大切なのは、食べる回数や時間です。
間食をダラダラ続けるよりも、時間を決めて食べる方が虫歯のリスクを抑えやすいと考えられています。
Q. 痛みがなくても定期検診を受けた方がいいですか?
はい。
虫歯や歯周病は初期の段階では症状がないことも少なくありません。
定期的なチェックによって、早期発見・早期対応につながることがあります。
Q. 歯が急に痛くなりました。当日でも診てもらえますか?
予約状況によっては急患対応が可能な場合があります。
まずはお電話でご相談ください。
まとめ
虫歯は、「歯磨きをしているかどうか」だけで決まる病気ではありません。
食生活や間食の回数、フッ化物の活用、唾液の働き、そして定期的な歯科医院でのチェックなど、さまざまな要素が関係しています。
ホープウッド・ハウス研究は、食生活が虫歯に大きく影響することを示した歴史的な研究です。
しかし、現在ではその知見に加え、フッ化物やセルフケア、定期的なメインテナンスを組み合わせることが、より効果的な虫歯予防につながると考えられています。
「毎日歯磨きをしているのに虫歯になる。」
「歯がしみる。」
「歯が痛い。」
「歯石取りを受けたい。」
このようなお悩みがありましたら、次郎丸デンタルクリニックまでお気軽にご相談ください。
患者さん一人ひとりのお口の状態や生活習慣に合わせて、現在のお口の状態をわかりやすくご説明し、無理なく続けられる予防方法を一緒に考えていきます。
参考文献
- Harris R. Biological goal for the management of dental caries. Int Dent J. 1963.
- Harris R. The Hopewood House Study. Aust Dent J.
- Featherstone JDB. The science and practice of caries prevention. J Am Dent Assoc. 2000.
- 日本口腔衛生学会. う蝕予防のためのフッ化物応用ガイドライン.
- World Health Organization. Guideline: Sugars intake for adults and children.
