早良区有田の次郎丸デンタルクリニック院長、木村 健吾です。診療室でよく聞く言葉で、「私、昔から歯が強いんです。」というのがあります。
おそらく幼少期、青年期にかかりつけ医に言われたのだと思います。
これは「あなたはむし歯に対する抵抗性が高い」という意味で言ったのでしょう。
しかし歯周病に対してはどうでしょうか。
むし歯と歯周病の原因菌は実は全く異なります。口の中が酸性だと酸性下で生息できるむし歯菌が優位となりますし、反対に口の中がアルカリ性だとアルカリ性下で生息できる歯周病菌が優位となります。もちろん歯周病菌とむし歯菌の比率が拮抗している人もいます。つまりむし歯も歯周病も進行している可能性があるという事です。
一般にむし歯になりにくい人は、唾液の緩衝能(酸性の口の中を中性に戻そうとする力)が高く、唾液量が多いです。しかし、唾液量は様々な要因によって減少します。詳しくは前回の投稿をお読みください。
ブラッシングでセルフケアできるのは、歯茎の上〜せいぜい歯肉縁下0.5mm程度のところまでと言われていますので、歯茎のポケットの深いところに歯石を作ってしまっているケースでは自分で取り除くことはできません。そこで歯科医院への通院および歯科衛生士による歯石除去が必要となります。
(画像引用-ストローマンパートナーズ)
昔から歯が強いので、何年も歯医者にかかっていなかった方のお口の中をみせてもらうと歯周病がかなり進行して重篤な状態であることは珍しくありません。
歯周病はむし歯のような痛みを伴わないためです。
症状がない人も一度、歯科医院での検診をおすすめします。
最後までお読みいただきありがとうございました。