早良区有田の次郎丸デンタルクリニック院長の木村健吾です。
前回の投稿でレントゲンの各種違い、放射線被曝の安全性について書かせて頂きました。
前回の投稿はこちら
今回はその続きです。
(3)CTで何がわかるの?
①親知らずの状態の把握
②根の治療への応用
③上顎洞炎の診断
④歯周病の状態把握
⑤インプラント処置への応用
⑥顎の骨の中の嚢胞、腫瘍の診断
などがあげられるかと思います。
具体的にみていきましょう。
①親知らずの状態の把握

パノラマ写真では親知らずの根っこの先端が下歯槽管(下唇の感覚とつながる神経が走る管)に近接しているということはわかりますが、前後関係は不明です。


他にも歯根の数および形態、埋伏智歯の向き、舌側板の厚み、上顎洞との位置関係(上顎の場合)も把握することができます。
②根の治療への応用

骨の吸収が骨の表面まで及ばないと、従来の2次元の写真では病気の検出は難しいとされています。つまり、レントゲン写真一枚で、健康であるということをいうのは難しいということです。これは実際の自分が遭遇したケースですが、左上が噛んだら痛むとのことで、レントゲン写真を確認しました。目立った病巣が認められないにも関わらず、CTでは根の先端を取り囲むような大きな病巣を認めます。

他には、治療がなされていない根の管を見つけ出したり、根の治療の一環で外科処置を行うときに方針の一助となることもあります。
③上顎洞炎

噛んだ時に痛みがある、歯茎を押さえると痛む、鼻詰まり、頭が重い感じがあることを主訴にいらっしゃた方です。レントゲン写真では明らかではありませんが、CTでは上顎洞底の骨破壊と伴に上顎洞まで炎症の波及と粘膜の肥厚をみとめます。
右の治療後では根の先端周囲に骨の回復と上顎洞粘膜の正常化像を認めました。


別のケースですがレントゲン写真では検出できない病巣が上顎洞に波及し、上顎洞粘膜の肥厚が認められます。


重度歯周病が原因によって右側の上顎洞が真っ白になっています。
⑤歯周病の状態把握


骨の欠損が歯を取り囲むように生じています。その結果、一番奥の歯の歯肉形態がいびつなものになっています。
⑥インプラント処置への応用


インプラントの長期安定のためには、インプラント周囲に十分な骨があることが条件です。CTは埋入予定の部位の骨の状態を把握するのには必須です。解剖学的に安心、安全にインプラント処置を行えるかを検討します。
⑥顎の骨の中の嚢胞、腫瘍の鑑別診断


根の先端の病巣周囲のセメント質が肥厚しています。


エナメル上皮腫という病気が顎骨内に認められます。
(引用文献 辰野聡-エナメル上皮腫の画像診断)
保険でCTを撮影するには、ルールがありますので適用範囲はあります。3割の負担で3000円〜4000円程度となります。
以上最後までお読みいただきありがとうございました。